E03 2025年の住宅侵入窃盗は17,152件|警察庁統計の読み方

2025年に全国の警察が認知した住宅対象侵入窃盗は17,152件でした。前年の16,000件から1,152件、7.2%増えています。

ただし、この17,152件は「被害に遭った世帯の数」や「1年間に自宅が被害に遭う確率」ではありません。警察が犯罪として認知した事件の件数であり、全国の年間合計です。また、同じ資料に出てくる「侵入犯罪58,492件」「侵入窃盗47,233件」とは対象範囲が違います。

この記事では、三つの数字の包含関係、前年との比較、認知件数から分かること・分からないことを整理します。ニュースの数字だけで契約の要否を決めず、自宅で何を確認すればよいかまで落ち着いて考えましょう。

目次

結論|17,152件は全国の「住宅対象侵入窃盗」の認知件数

最初に、2025年の主要数値を並べます。すべて全国の年間確定値です。

統計区分2025年の認知件数対象範囲数字の関係
侵入犯罪58,492件侵入強盗、侵入窃盗、住居侵入等最も広い区分
侵入窃盗47,233件建物等へ侵入して行われる窃盗侵入犯罪の一部
住宅対象侵入窃盗17,152件侵入窃盗のうち住宅を対象とする空き巣、忍込み、居空き侵入窃盗の一部

つまり、三つは別々に足す数字ではありません。侵入犯罪の中に侵入窃盗があり、侵入窃盗の中に住宅対象侵入窃盗があります

警察庁「令和7年の犯罪情勢」では、侵入犯罪58,492件のうち侵入窃盗が47,233件で、約80%を占めると説明されています。住宅対象侵入窃盗17,152件は、侵入窃盗47,233件の約36.3%です(当サイト計算:17,152÷47,233)。残りには、住宅以外を対象とする侵入窃盗が含まれます。[令和7年の犯罪情勢|警察庁](確認日:2026年9月9日)

17,152件の意味|住宅を対象とした三つの手口区分の合計

17,152件は、警察庁「犯罪統計資料 令和7年1~12月分【確定値】」の第5表「重要犯罪・重要窃盗犯 認知・検挙件数・検挙人員 対前年比較」に掲載された「住宅対象侵入窃盗」の認知件数です。同資料の第2表で内訳を確認すると、次の合計と一致します。

住宅対象侵入窃盗の区分統計上の意味2025年の認知件数
空き巣居住者等が不在の住宅を対象としたもの11,684件
忍込み夜間、居住者等の就寝中の住宅を対象としたもの4,784件
居空き居住者等が在宅中の住宅を対象としたもの684件
合計住宅対象侵入窃盗17,152件

ここで重要なのは、日常語の「住宅侵入窃盗」と、警察庁統計の項目名を混同しないことです。本記事では、警察庁の区分に合わせて「住宅対象侵入窃盗」と表記します。

また、17,152件は人数ではありません。被害者数、検挙人数、被害に遭った住宅の戸数とも異なります。一つの住宅で複数の事件が認知される可能性や、一つの事件に複数人が関係する可能性があるため、件数をそのまま「17,152世帯」と読み替えることはできません。

原表は政府統計の総合窓口e-Statでも「令和7年1~12月犯罪統計【確定値】」として公開され、公開日時は2026年2月12日10時です。記事公開前の2026年9月9日に、第5表の17,152件と第2表の内訳を再確認しました。[令和7年1~12月犯罪統計【確定値】|e-Stat](確認日:2026年9月9日)

侵入犯罪58,492件との違い|窃盗以外も含む広い区分

「侵入犯罪58,492件」は、住宅だけの窃盗件数ではありません。警察庁「令和7年の犯罪情勢」の注記では、侵入犯罪を侵入強盗、侵入窃盗、住居侵入等の合計としています。

用語の関係は次のように整理できます。

用語含まれる主なもの住宅だけか読むときの注意
侵入犯罪侵入強盗、侵入窃盗、住居侵入等いいえ窃盗だけの数字ではない
侵入窃盗建物等へ侵入して行われる窃盗いいえ住宅以外も含む
住宅対象侵入窃盗空き巣、忍込み、居空きはい住宅に限定した侵入窃盗

たとえば、「2025年の住宅侵入窃盗が58,492件」と書くと範囲が広すぎます。58,492件には住宅以外を対象とする侵入窃盗だけでなく、侵入強盗や住居侵入等も含まれるからです。

逆に、17,152件だけを見て「住宅に関係する侵入犯罪のすべて」と理解するのも正確ではありません。17,152件は窃盗の特定区分であり、強盗や窃盗に至らない住居侵入等は別の区分です。報道や記事を読むときは、見出しの「侵入」という言葉ではなく、資料の項目名と定義を確認してください。

侵入窃盗47,233件との違い|住宅以外の対象も含む

侵入窃盗47,233件は、侵入犯罪58,492件の中に含まれる「窃盗」の件数です。そのうち、住宅を対象とする三つの区分の合計が17,152件です。

計算上、住宅対象侵入窃盗は侵入窃盗全体の約36.3%です。ただし、この割合は「住宅の36.3%が被害に遭った」という意味ではありません。分子も分母も事件の認知件数であり、住宅戸数を分母にしていないからです。

47,233件と17,152件のどちらを使うかは、知りたい問いで決まります。

  • 建物等への侵入を伴う窃盗全体の動きを見たい:47,233件
  • 住宅を対象とした侵入窃盗の動きを見たい:17,152件
  • 強盗や住居侵入等も含めて侵入犯罪全体を見たい:58,492件

数字の大小だけを比較するのではなく、「何を含む合計か」を先に確かめるのが統計を読む基本です。

前年との比較|住宅対象侵入窃盗は1,152件、7.2%増

2024年と2025年の確定値を同じ統計区分で比較すると、次のようになります。

統計区分2024年2025年増減数前年比
侵入犯罪53,568件58,492件+4,924件+9.2%
侵入窃盗43,036件47,233件+4,197件+9.8%
住宅対象侵入窃盗16,000件17,152件+1,152件+7.2%
空き巣11,048件11,684件+636件+5.8%
忍込み4,122件4,784件+662件+16.1%
居空き830件684件-146件-17.6%

「住宅対象侵入窃盗が前年比7.2%増えた」は事実です。一方、合計の内訳は同じ方向に動いていません。空き巣と忍込みは増え、居空きは減っています。単年の増減だけで長期傾向、原因、今後の推移まで断定することはできません。

警察庁は侵入窃盗全体について、2022年まで減少していたものの、その後は増減を繰り返していると説明しています。2025年の前年比だけを切り取って「増え続けている」と表現するのも適切ではありません。傾向を判断するときは、同じ定義の複数年データを確認する必要があります。[住まいる防犯110番「データで見る侵入犯罪の脅威」|警察庁](確認日:2026年9月9日)

認知件数の限界|発生したすべての事件を直接数えた数字ではない

認知件数とは、警察が犯罪の発生を認知した件数です。届け出、通報、捜査などを通じて警察が把握した事件を数えるため、社会で実際に起きたすべての犯罪を完全に直接観測した数字ではありません。

被害が警察に把握されていない場合は認知件数に含まれません。一方で、認知件数は単なるアンケート結果でもありません。全国の警察が一定の犯罪統計区分に基づいて集計した、年ごとの動きを確認するための重要な公的指標です。

数字から分かること数字だけでは分からないこと
2025年に警察が認知した全国の事件件数社会で実際に発生した事件の完全な総数
同じ定義で集計した2024年との増減増減が起きた原因や今後の推移
侵入犯罪、侵入窃盗、住宅対象侵入窃盗の規模特定の住所・世帯が被害に遭う確率
住宅対象侵入窃盗の三つの内訳被害に遭った固有の住宅戸数や世帯数
全国的な傾向を考える手掛かり自宅に必要な設備やサービスの種類

認知件数の限界は、「統計は役に立たない」という意味ではありません。数値が何を測っているかを明確にしたうえで、全国動向の確認に使うことが大切です。

17,152件を家庭の被害確率にできない理由

「17,152件を全国の世帯数で割れば、自宅の被害確率が出るのでは」と考えるかもしれません。しかし、その計算だけでは個々の家庭の確率にはなりません。

第一に、分子は警察が認知した事件件数であり、被害世帯数ではありません。同じ住宅で複数回認知された事件があれば、住宅数と件数は一致しません。認知されなかった被害も分子に含まれません。

第二に、適切な分母が定まりません。総世帯数、居住住宅数、戸建て数など、何を使うかで値が変わります。統計の17,152件には住宅の種類別・居住状況別の共通分母が付いていないため、単純に一つの数字へ変換できません。

第三に、住宅の状況は同じではありません。住居形態、立地、在宅時間、建物や設備の状態、管理方法などが異なります。ただし、全国件数だけから「特定の地域は危険」「戸建てだから危険」と断定することもできません。地域や住居形態を比べるときは、件数だけでなく母数、対象期間、統計区分がそろっているかを確認する必要があります。

したがって、17,152件から読み取れるのは、2025年に住宅を対象とした侵入窃盗が全国で一定数認知され、前年より7.2%増えたという範囲です。自宅の判断には、別の情報と現地の状況確認が必要です。

家庭での判断|統計を「契約の答え」ではなく確認のきっかけにする

件数が増えたからといって、すべての家庭に同じサービスが必要になるわけではありません。まず、費用をかけずに確認できる項目から始めます。

  1. 出入口を確認する:玄関、窓、勝手口などが日常的に施錠され、故障を放置していないかを見る
  2. 家族の行動を確認する:最後に出る人、子どもが先に帰る日、長期不在時など、戸締まりや連絡が曖昧になる場面を整理する
  3. 住まいの制約を確認する:賃貸借契約、管理規約、共用部と専有部、工事の許可などを確認する
  4. 通知後の対応を決める:異常に誰が気づき、誰が確認し、緊急時にどこへ連絡するかを家族で決める
  5. 不足だけを補う:施錠の習慣、物理防犯、自己設置機器、警備会社型などから、確認で見つかった不足に合う方法を比較する

統計は、対策を考え始める根拠にはなりますが、特定の商品や契約を選ぶ根拠にはなりません。施錠と家族ルールで対応できる家庭もあれば、日中に通知を確認できる人がいない、異常時に現地対応できないなどの理由から外部サービスを検討する家庭もあります。「今回は導入しない」場合も、確認日と見直す条件を決めておけば合理的な判断です。

次は、[E04 戸建て・共同住宅で侵入被害をどう読む?住居形態データの限界]で母数と住宅区分の注意点を確認し、[T02 ホームセキュリティは必要ない?意味がある家庭・ない家庭を条件別に判断]で自宅の条件を整理してください。方式まで比較したい場合は、[R06 戸建て向けホームセキュリティ比較|共働き家族の選び方と費用]または[R07 マンション向けホームセキュリティ比較|オートロックとの役割の違い]へ進みます。

よくある質問

2025年の住宅侵入窃盗は何件ですか?

警察庁の2025年確定値では、住宅対象侵入窃盗の認知件数は17,152件です。2024年の16,000件から1,152件、7.2%増えました。数字は全国の年間合計で、被害世帯数や個々の住宅の被害確率ではありません。

17,152件と47,233件はどちらが正しいのですか?

どちらも正しいですが、範囲が違います。47,233件は住宅以外も含む侵入窃盗全体、17,152件はそのうち住宅を対象とした空き巣、忍込み、居空きの合計です。住宅の侵入窃盗を知りたい場合は17,152件を使います。

侵入犯罪58,492件には何が含まれますか?

警察庁の定義では、侵入強盗、侵入窃盗、住居侵入等が含まれます。住宅だけ、窃盗だけの数字ではありません。侵入窃盗47,233件は、この侵入犯罪58,492件の内数です。

17,152件を世帯数で割れば被害確率になりますか?

個々の家庭の被害確率にはなりません。17,152件は認知事件数であって固有の被害世帯数ではなく、住居形態や地域などに対応する共通の分母も付いていないためです。単純計算は全国認知件数を別の総数で割った参考値にとどまり、自宅の条件を表しません。

まとめ|件数、定義、母数を分けて読む

2025年の住宅対象侵入窃盗は17,152件で、前年より1,152件、7.2%増えました。これは侵入窃盗47,233件の一部であり、侵入犯罪58,492件よりさらに狭い統計区分です。

17,152件は、全国の警察が2025年に認知した事件の件数です。被害世帯数でも、あなたの自宅の被害確率でもありません。前年比は全国動向を考える材料として使い、自宅では出入口、家族の行動、住まいの制約、通知後の対応を別に確認しましょう。

統計だけで契約を決めず、まず[E04 戸建て・共同住宅で侵入被害をどう読む?住居形態データの限界]と[T02 ホームセキュリティは必要ない?意味がある家庭・ない家庭を条件別に判断]で、自宅に当てはめるための条件を整理してください。

著者プロフィール

「まもる君のホームセキュリティ見積帳」運営者。47歳、妻と小学生の子ども2人の4人家族です。現在はマンションに住み、過去に戸建てで暮らした経験があります。本人・家族の住居を含め、ホームセキュリティのある暮らしを30年以上経験してきました。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

目次